湊かなえ著「リバース」 感想

現在TBSで放送されている「リバース」を見て先がどうしても気になり、原作本を買って読みました。なるべくネタバレしないようには気を付けますが、チョイバレはしているかもです。

湊かなえ著「リバース」 あらすじ

大学生の時に旅行に行った先でグループの中の一人が死んだことに秘密を抱える主人公の元に穏やかでない手紙が届けられたことをきっかけに、亡くなった友人について調べ始め真相にたどり着く話です。

感想

読み終わった後につい面白かったと口にしてしまった小説でした。以前にも感想にあげた「Nのために」もすごく面白かったので、この作家さんの他の作品も読んでみたいです。

犯人について

犯人はホントのラスト2ページくらいにあるんですが、私が読んでいた限り、主人公の結論がそれだったってだけで、ホントのところは分からないんじゃないのかなって思いました。アレルギーの度合いって人それぞれ、体調によっても変わってくるものだし、絶対にアナフィラキシーを起こすってわけじゃない。ちょっと蕁麻疹がでるだけだったり、体調によっては何ともなかったり、舌にだけ違和感が出たり、ホントに症状は様々で、絶対こうなるってことは分からいないと思う。だから、友人が事故った原因が運転を誤ったのか、雨で滑ったのか、お酒が原因なのか、道に突然動物が出てきたのか、アレルギーなのかホントのところは本人にしかわからないんじゃないのかなと思いました。

それよりもむしろ彼女は確実に犯人ですよね。事実押したんですから。どんな理由があったにせよ絶対にダメですよね。なんか話の中ではなあなあな感じでそれについてはあやふやな感じで終わってますけど。またなかったことにするんですかね。

そして、グループの4人の罪悪感の原因である飲酒していたのに運転させたという事実についても、間違いなく悪いです。でも、亡くなった友人が一方的に被害者というのもちょっと違うと思います。彼はちゃんと拒否できる人間だと思います。事実、蕎麦はちゃんと断っていました。彼なりの配慮はしつつですが。それなのに彼は運転しました。つまり拒否できたのにしなかった彼の罪でもあると思います。自ら決断した結果です。断固として断ってタクシーを呼ぶべきだったのです。だからこれについてはグループ5人全員の罪だと思います。

ところで、ちょっと気になったのですが、小説の中での個人情報の取り扱いが軽すぎやしませんかね。昔の友人だからって勝手に連絡先を教えられるとか、事情はどうあれ正直迷惑な話だと思いますけど。時々勝手に他人の連絡先を教える人っていますけど、その辺気になるの私だけでしょうか。

それにしても、主人公は結局この後どうするんでしょう。蕎麦のこと言うんでしょうか。それともまたそれは隠して飲酒のことだけ話に行こうと他の人たちに持ち掛けるんでしょうか。

どうするのかなあ。

友達って

今回の「リバース」は友達という存在もある意味テーマなのかなと思いました。

友達の過去の友達についていろいろ聞いて回るうちに自分の知らなかったことがいろいろ出てくるのは当然です。自分のことだって全部分かっているわけではないのに、友人のことなんて分かるわけありません。しかも、今回の場合、周りの人から見た勝手な評価なわけで、本人の当時の胸の内は全く別のところにあるのも当然です。

実際の友人関係でも、自分だってずっと一人の友人と遊ぶ訳ではなく、他の友人とも過ごすのはごく普通なことで、一人の友人から見れば知らない自分がいるのもごく普通です。しかもわざわざその話をする必要もないのにしませんし。それに周りから見るといつも一緒にいる仲良しグループなのかなと思っていても、当人曰くそれほどじゃないってこともまああることです。主人公の場合は、友人が唯一の友人であったから執着心が倍増だったのかもしれませんが。

しかし、上のグループとか自分にふさわしいやつがいる都会に出ようとか、考え方が随分小さいなとしか思えないのですが。リア充っぽく見えることってそんなに大切ですかね。グループに上下ってありますかね。正直私には理解できません。自分自身が好きだなって思える人と楽しく友人でいられたらそれでいいんじゃないですかね。不細工な女がブランドバック持っててもいいじゃないですか。何がいけないんでしょう。質の高い友人でないとダメとか考えていること自体が嫌です。そもそも友人って数じゃないと思います。確かに幼いころの「友達100人できるかな」っていう歌のインパクトは大きい気がしますが、100人できたところで何だっていうんでしょう。だって100人の人たちと深い絆でつながるとか難しくないですか。1人と1日遊ぶとしてみんなと遊ぶには一人の人と年に3回しか遊べませんけど。100人といっぺんにあそんでもわいわい楽しくは過ごせるでしょうけど、全員とまんべんなく深く関わるのは無理です。名前すら覚えられそうにありません。少なくとも私は数が少なくても深く心を通わせられる友人がいれば十分です。まあ考え方はそれぞれですけど、少なくともこの小説に出てくる友人感にあまり賛同できるとは言えません。

主人公はなぜそんなに周りを気にするんだろう。周りからの評価なんて大して当てにならない虚像みたいなものだと私は思います。主人公にとって友達ってほんとのところ何だったんだろう。まるで主人公にとっての理想の虚像を求められているようです。その上、最終的に友人にとって自分がふさわしいかどうか悩むなんて友達から思われたら、私なら逆に悲しいです。その程度の信頼度でその程度にしか見られてないことの裏返しのように感じてしまいます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
スポンサーリンク